修羅場を迎えた【ロミオとジュリエット効果】
俊、クズ過ぎだわ、この男。
ていうか頭おかしいのかな。
会社での不正行為は、
「ちょっと魔が差しました」
では済まないレベル。
年数も長いし、
刑事事件にはならないけれど、
何らかの民事には引っ掛かるでしょう、
完全に信頼を失う事は間違いない。
まだ家族会議が終わらぬうちに、
奥をなだめてる最中に、
水面下で不倫再開。
まっただ中悪いとは思ってない。
この人、更正するのは難しいと思う。
詐欺師としてならエリート。
しかも、「感情的になった雪子が暴れて、
犯罪者にさえなりそうな所を、
俺が上手く取りまとめて救ってやった。」
という事に、俊の頭ではなってるらしい。
奥も言いくるめて、
「雪子へ慰謝料請求はしないように抑えてやったから。」
俊は、不倫というシチュエーションが好きなんだろうね。
今後は更に人目を気にしなくてはならない、
「禁断の恋」に興奮して酔いしれてる。
俊「会社にも、家族にも、今度雪子との関係がバレたら、それこそ俺は本当に首をくくらなきゃならないよ。」
私「よーくやるよねー。」呆れ
俊「でもさ、ここまでのリスクを背負ってまで、失いたくない、会いたい、ってさ、本物だと思うんだよね。」
私「確かに。普通は面倒臭くなるよね。」
俊「誰も味方がいなくてさ、こんなに不自由になってさ。お互いに裏切り合っても、それでもまた会いたいんだよ。」
私「何なんでしょうね。」
俊「この絆って、夫婦以上だと思うんだよね。」
私「そうなのかな。まぁ、そうかもね。」
俊「だって、俺達がここまでして一緒にいなきゃいけない義務なんて無いし、利害関係でもない。世間からは非難されるだけで、何の後ろ楯も無い。それなのに、ただただ会いたいんだよ。どんな事があっても、何が何でも俺は雪子に会いに行くんだよ。愛してるんだよ。」
ロミオとジュリエット後悔ね。
俊はヒーローとかプリンスになりたいんだね。
今までは何も出来ない弱々しい奥を守る事で
庇護欲求を満たしてたけれど、
その辺の誰でも守れるプリンセスなんか、
そりゃつまらなくなるよね。
俊「雪子は、わりと過酷な環境で、ひとりでいつも頑張って来たから、強いけれどすごくデリケートな面もあることを俺は解ってるよ。一番の理解者だと思うよ。」
「中々人を信じないのも、今までに怖いことや、罠にハメられたり、色んな目に会って来たからだよね。」
(特にお前な。)
「時間はかかるかも知れないけど、俺を頼って、信用してほしいんだ。凍りついた雪子の心を溶かしていきたいんだ。俺といる時だけは、肩の力を抜いてほしいんだよ。」
私「ありがとう。」
建前だとしても、酔いしれてるだけだとしても、ホストでも無いのに、無料でここまで言ってくれる人は初めて。
熱くて刺激に満ちた恋愛は、
中々経験出来ないから、
もうしばらく楽しんでみよう。
カウンセリングも出来る
レンタル彼氏と思えばいっか。