捜査がスタート【顔面蒼白】
俊から聞いた様子を綴っていきます。
本社から、監査が1人やってきた。
俊は小細工した書類と言い訳の嘘を用意して、
ビクビクしながらも、
「上手くごまかして、イケると思うんだよね」
と、見くびっていた。
しかし、本社の監査といえば、
その道に特化した社内捜査のプロ。
既に全ての疑惑データを洗い出して、
gpsの移動履歴、不正出張の日程等も確認。
言い訳の余地など微塵も無く。
「最悪だ。もうダメだ。完全に終わった。」
「全部バレてた。」
と、トイレに入ってLINEしてきた。
捜査は、社員達の居るフロアの中で公に始まった。
前日に話した上司は監査から
「捜査に同席するように」と言われていたそう。
前日、10年も慕ってきた上司に呼び出され、
俊「いやぁ、ほんの出来心で!不正しちゃったのは、この1枚の領収書だけなんですよ!」
上司「本当に他には無いんだな?」
俊「ありません!!(きっぱり)」
その上司が同席する目の前で翌朝、
次々に暴かれて行く膨大な不正データ。
金品のごまかし。
俊は顔面蒼白になり、
上司に「申し訳ありません!!」
と謝罪しても、上司は口も開かず
目も合わせてくれなかったと。
そこで更なる捜査の追加。
監査「今から車と寮を確認する。」
血の気が引く俊。
不正出張の証拠や、売上金をごまかした領収書、帳簿、その他諸々、
隠そうと ご丁寧にまとめて寮に置いてあった。
これも、私は俊に忠告していた。
「寮も見に来るんじゃない?」と。
俊「それは無いよ~。」
「車は?」
俊「無い無い~。」
ここで、監査がもう1人増え、2人になった。
おそらく、量が多すぎて1人では手に負えないとの判断でしょう。
そして、寮から出てくる大量のブランド品、
30を超える高級腕時計。
監査「こんなの普通買えないもんねぇ~。笑いが止まらないねぇ~。」
足下からガタガタ音を立てて震えて立ち尽くす俊。車からも、数々の見付かってはならないものが押収された。
昨日まで、品行方正、穏やかで優しくてイケメンで、真面目に仕事に取り組んでいると
皆から慕われ信頼されていた支店長が、
ある日突然、監査や上司に囲まれ
部下達社員の前で膨大な横領を暴かれ、
青くなってガタガタ震えている。
俊から高級ブランドの膝掛けを貰った事務員さんも、「これは横領したお金で!?」
と蒼白になっていた。
俊「今まで支店長!支店長!とチヤホヤしてきた人達が、もう目すら合わせてくれない。」
私「当たり前でしょ。」
ここで、やっぱり俊に違和感を感じるのは、
自分が犯した横領という罪の大きさを解ってない。それによる周囲の冷たい対応は、
当然だということを解ってない。
なぜか、被害者意識を私に出してくる。
俊「雪子を責めるわけじゃないけど。せっかく上手く行ってたのに。もう少しでこれをベースに独立しようと思ってたのに。」
「失敗した。もっと上手く隠すべきだった。
まさか寮に来るなんて。」
「もう皆、腫れ物に触る感じで、つらいよ。」
横領の罪に関しては全く反省してないのね。
やっぱりおかしいよ。この人。
不倫二股が奥さんにバレて、
まだパニックの真っ只中なのに、
私に復縁を申し込んでくるあたりもね。
何かの障害?